経済学での消費者の行動原理は究極的に「好きなことやる、やりたいことをやる」です。この「好き」というのをかっこつけて「選好」といいます。で、厳密にそれっぽい記号を使って扱います。

選好
AよりもBのほうがこのましいことを\(A\prec B\)と表す。
また、AとBが同程度に好ましいことを\(A\sim B\)と表し、AとBは無差別であるという。


まぁ、無駄に難しくしているように感じて文句の一つや二つもあるかもしれません。でも、厳密な議論のためには必須なんです。経済学がサイエンスであるためにどうしても必要なんですね。許してください。
で選考については以下の性質を満たすことを仮定します。この仮定が成り立つ選好は合理的であるといいます

合理的な選好
(1)完備性
\(A\)と\(B\)の間には少なくとも\(A\precsim B\)か\(A\succsim B\)の一方が成り立つ。
(2)推移性
\(A\precsim B\ ,\ B\precsim C\ \Rightarrow \ A\precsim C\)

完備性の仮定を解説しておきましょう。
二つの状況があれば、そのどっちでもいいかどっちかがいいに決まってるということです。
どっちでもいいというのは\(A\precsim B\)かつ\(A\succsim B\)なら\(A\sim B\)となるので完備性と矛盾しません。
妥当であると思っていただけましたか?

推移性の仮定もみておきます。
AよりもBのほうがよく、BよりもCのほうがいいなら自動的にAよりCがいいに決まってるということです。どうでしょうか。
これも納得してもらえる部分が多いのではないでしょうか。ただし、なかには推移性の仮定は一般には妥当ではない、つまりいつでも成り立つわけではないという立場もあります。


ここまでの議論、いかがですか?
選好が抽象的でさっぱり!という方はこれを数字に置き換えると分かりやすくなるかもしれません。そのために、効用関数というものを次に導入します。


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