限界効用逓減の法則(ゴッセンの第一法則)
消費量が増加するにつれて、新しく消費するときの効用(満足の度合い)が減少していくという経験則。
例えば財としてリンゴを考えてみます。
リンゴが嫌いな人はトマトでも、コーヒーでも、酢でも、ビール、日本酒その他なんでもいいので一つ財を考えてみてください。のどが渇いておなかがすいているときに一つリンゴを食べるととてもおいしく感じます。空腹は最高のスパイスなんてよくいいますね。では、次にリンゴをもう一つ食べてみましょう。
やはりおいしいですね。
でも最初の一つ目の時と違って空腹ものどの渇きもすこし癒されていますからやや感じるおいしさ、満足度は下がっています。さらにもう一個、さらにもう一個と食べていくたびに得られる満足度は減少していきます。これこそ限界効用逓減の法則です。上の定義に当てはめて書くと、
リンゴのおける限界効用逓減の法則(ゴッセンの第一法則)
リンゴを食べる量が増えるにつれて、新しくリンゴを消費するときの効用が減少していくという経験則。
ちなみに、これは「経験則」です。というかそもそも成り立たない財がわんさかあります。
例えばかっぱえびせん。「やめられない、止まらない♪」は限界効用はほとんど変わってないか上がっていってるのどちらかです。まぁかっぱえびせんを分析するなら限界効用一定を仮定することができるでしょう。
また、限界効用が逓増することも考えられます。用語にとどめておきますがリスク選好的な株式投資家の金銭に対する効用関数は限界効用逓増の法則に従っているといえます。逆に言えばリスクを嫌う人は限界効用逓減の法則にしたがう選好をもついえ、この考えは金融論でも重要な役割を担っています。
●そもそも限界とはなんでしたか?
簡単に言うと経済学における「限界」とは「新しく」「追加的に」という意味合いです。ですから、「限界効用」とは「追加的に考える時の効用」の意味で、「逓減」は「減っていく」の意。つまり「限界効用逓減の法則」とは上のように定義できるわけです。
実はこの限界の考え方は微分と非常に相性のいい考え方です。微分というと毛嫌いする人もいますが、非常に簡単で「関数\(f(x)\)を\(x\)について微分するというのは、\(x\)をすこし動かしたときに\(f(x)\)がどれくらい変化するか」を求めることです。
この微分で限界効用逓減の法則がどうかけるかというと…
限界効用逓減の法則(ゴッセンの第一法則)
\(\frac{d^{2}u}{dx^2}\leq 0\)
いきなり二階微分が出てきてしまいました…。これまでの説明でピンと来る人はいいのですが、そうでないほとんどの人はなかなか二階微分の意味はすぐには難しいかもしれません。
・一階微分\(\frac{du}{dx}\)は限界効用のことです。限界効用逓減の法則というのはこの限界効用が、追加的には減っていくことを指しています。
・つまりさらに微分した二階微分\(\frac{d^{2}u}{dx^2}\leq 0\)である。
できるだけここで咀嚼して、どうしても分からない場合は先に進みながら考えてみてください。
もくじ
(1) 選好と効用
(2) 行動原理代替効果
自己代替効果
@所得効果
@スルツキー分解
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(2) 行動原理
- 経済学でのベクトルと内積
- 予算制約式
- 効用最大化問題
- 費用最小化問題
- 双対性
- 偏微分
- 全微分
- 限界代替率
- 限界代替率と価格比
- 【例題】線形効用関数の限界代替率
- 限界効用均等の条件(ゴッセンの第二法則)
- 補償需要関数