全ての財について限界効用が正でありかつ連続単調な効用関数を考える。線形な予算制約のもとで効用を最適化するとき、この限界効用均等の条件(ゴッセンの第二法則)を示せ。
限界効用均等の条件(ゴッセンの第二法則)
\(\frac{\partial u/\partial x_a}{p_a}=\frac{\partial u/\partial x_b}{p_b}\)
限界効用均等の条件(ゴッセンの第二法則)
\(\frac{\partial u/\partial x_a}{p_a}=\frac{\partial u/\partial x_b}{p_b}\)
【解答】
効用関数を全微分すると
\(du=\frac{\partial u}{\partial x_a}dx_a+\frac{\partial u}{\partial x_b}dx_b\)
無差別曲線の定義から\(du=0\)であるので、
\(\frac{\partial u}{\partial x_a}dx_a+\frac{\partial u}{\partial x_b}dx_b=0\)
これを限界代替率\(\frac{dy}{dx}\)について解くと
\(\frac{dx_b}{dx_a}=-\frac{\partial u/\partial x_a}{\partial u/\partial x_b}\ \ \ \cdots (1)\)
最適消費を実現する点ではそれ以上の効用改善ができないから
\(u=u(x)\)よりも上に\(p\cdot x=I\)は存在できない。
また、予算制約式を満たす点でしか効用を実現できないから
\(u=u(x)\)と\(p\cdot x=I\)とを同時に満たす点\(x\)が解の条件である。
そのような点の周りでの微分は予算制約式の傾きに等しい
\(-\frac{dx_a}{dx_b}=\frac{p_b}{p_a}\ \ \ \cdots (2)\)
\((1)(2)\)から
\(\frac{\partial u/\partial x_a}{p_a}=\frac{\partial u/\partial x_b}{p_b}\)
【コメント】
過去に解説したり解いたりした問題から一つ重要な法則が導けました。
この法則の意味するところは何でしょうか。
価格あたりの限界効用は等しくなるということで、追加的に消費するなら限界効用が高いものを消費するということの数学的な記述といえます。
「こんなの当り前じゃないか。とっくに知ってるよ。」と思うかもしれません。が、世にはびこる「経済学的な」考えの大半は経済学的に誤っています。全部なんとなく正しそうに見えるだけです。そのなかで経済学の主要な役割というのは俗説のうち何が正しく何が誤っているのかを明確にすることにあります。そういう意味でこの「当たり前」は経済学の学問的な成果なんですよ。
もくじ
(1) 選好と効用
(2) 行動原理代替効果
自己代替効果
@所得効果
@スルツキー分解
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(2) 行動原理
- 経済学でのベクトルと内積
- 予算制約式
- 効用最大化問題
- 費用最小化問題
- 双対性
- 偏微分
- 全微分
- 限界代替率
- 限界代替率と価格比
- 【例題】線形効用関数の限界代替率
- 限界効用均等の条件(ゴッセンの第二法則)
- 補償需要関数