具体的な生産要素について考えてみます。
もっともポピュラーな生産要素の仮定は資本と労働のセット\(K,L\)です。

他にも労働をさらに単純労働と知的労働に分解したり、逆に労働だけで生産するようなサービス産業を考えてみたりと色々なモデルが考案されています。


資本の価格は実質利子率などを採用します。一般的な呼び名を使うとレンタル・プライスといい、\(r\)を使うことがほとんどです。

一方、労働の価格は分かりやすく、賃金(率)です。例えば、一時間単位ではかるときは時給といいます。これらをふつうは\(w\)を使って表しています。


これで費用関数の具体的な形を考えることができます。費用関数が要素価格と利用する生産要素の量での内積でしたから、\(C(x)=w\cdot x=rK+wL\)となります。


利潤最大化問題はここで
\(max\ \pi(K,L)=pf(K,L)-(rK+wL)\)
となります。

生産関数が凹関数かつ解が内解点と仮定(細かい仮定なので読み飛ばしてOK)すると、各要素についてこれ以上利益を出せなくなるまで要素を使えばいいので、


消費者行動でつかった偏微分を使うと、
\(\frac{\partial \pi}{\partial K}=\frac{\partial \pi}{\partial L}=0\)
が条件になることが分かります。


具体的に計算すると、
\(\frac{\partial \pi}{\partial L}=p\frac{\partial f}{\partial L}-w=0\)
\(\frac{\partial \pi}{\partial K}=p\frac{\partial f}{\partial K}-r=0\)
となります。


単純に移項すると、
\(p\frac{\partial f}{\partial K}=r\)
\(p\frac{\partial f}{\partial L}=w\)
となります。


より一般的には
最適な要素需要
\(p\frac{\partial f(x)}{\partial x_i}=w_i\)
\(x_i\):\(i\)番目の要素の消費量
\(w_i\):\(i\)番目の要素の価格

となります。


この結論をどう捉えればいいでしょう?重要なのはふたつ、
(1) 生産物の限界価値=要素価格
(2) この式は需要関数の式である


まず最初の(1)ですが、
左辺に注目すると、
「生産物の価格」\(\times\)「生産要素をちょこっと増やしたときにできる生産物の量」
であるので、生産要素をちょこっと増やしたときに生まれる価値
といえます。

そして、この価値が要素価格に等しい。いかにも「経済学!!」って感じの結論です。よく、出てきます。

なぜこうなるか?というのは先ほど認めてしまった生産関数の凹性を利用しないとピンとくる説明を作るのは難しいので、次回にまわします。


次の(2)についてです。\(p,w_i\)はプライステイカーには定数になっています。しかし、\(\frac{\partial f}{\partial x_i}\)はだいたいは生産要素に依存する関数になります。

つまり、この式はふわっとした言い方をすると
\(x_i=x_i(p,w)\)と解ける場合がある、ということです。


ちょっと不思議なカンジがします。生産者の行動を考えいたら以前は供給関数が出てきました。こちらは生産物について考えていたからですね。
今回はその原材料について考察したのでどれだけ原材料を消費すべきか、という需要関数が得られるわけです。これを要素需要関数ということがあります。


どんな企業(あるいは人も)もある人には売り手であり買い手であるという相互関係があるということです。

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