微分を使うことにより経済学は
・なぜその商品をそれだけの量消費するか説明できるようになり
・価格や所得が変わった時の人の行動を分析できるようになる
など消費者の行動をうまく説明するようになりました。
しかも、
・企業の生産上のふるまい
・経済の動き方
・政策の与える影響
を記述できるようになるなど経済学全般に絶大なる貢献をしています。
では、そんな強力な微分をチェックしていきましょう!
まず、微分の定義からです。
関数\(f(x)\)の微分は\(\frac{df}{dx}\)とあらわされ、
\(\frac{df(a)}{dx}=\displaystyle \lim_{\Delta x \to 0}\frac{\Delta f}{\Delta x}\)
と定義される。
\(\frac{df(a)}{dx}=\displaystyle \lim_{\Delta x \to 0}\frac{\Delta f}{\Delta x}\)
と定義される。
\(x\)の増分を限りなく0に近づける時に\(f(x)\)が変わるかを求めるのが微分でした。
経済学で重要な微分の性質を紹介します。
\(\frac{df}{dx}<0 \rightarrow x\)を増やすと\(f(x)\)は減少する。\(\frac{df}{dx}=0 \rightarrow x\)を増やしても\(f(x)\)は変わらない。
\(\frac{df}{dx}>0 \rightarrow x\)を増やすと\(f(x)\)は増加する。
\(\frac{df}{dx}>0 \rightarrow x\)を増やすと\(f(x)\)は増加する。
これで経済の動きを厳密に記述する表記はだいぶ整いました。
そして、これは経験的に身に付くものでいわゆる直感的なものなんですが、ぜひ頭に入れておいてほしいことがあります。
\(\frac{df}{dx}=0\)の時はこれ以上\(f(x)\)を望ましい方向に動かせないことが多いので、\(\frac{df}{dx}=0\)は最適であることの条件になりやすい。
例えば在庫を増やすと儲けのチャンスである売上が増えるので得しますが、増やしていくにつれてもうチャンスが残らなくなってきます。そして一番得する点を超えると少しずつ儲けは減っていくという場合を考えましょう。
ここで、
・在庫を増やすと儲けが増える⇒儲けを在庫で微分すると0以上
・一番得する点⇒儲けを在庫で微分すると0
・在庫を増やすと儲けが減る⇒儲けを在庫で微分すると0以下
となっています。
経済学ではしばしば限界○○という用語に出会います。
結論から言うと簡単で、
限界○○とは○○を微分したもの
と事実上いえます。
ここでいう限界というのは「追加的な」という意味でlimitではなくmarginalの訳です。日本語って難しい!こういう日本語の難しさを避けるためにも
限界○○とは○○を微分したもの
と簡単に割り切ってもかまいません。
もくじ
(1) 選好と効用
(2) 行動原理代替効果
自己代替効果
@所得効果
@スルツキー分解
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(2) 行動原理
- 経済学でのベクトルと内積
- 予算制約式
- 効用最大化問題
- 費用最小化問題
- 双対性
- 偏微分
- 全微分
- 限界代替率
- 限界代替率と価格比
- 【例題】線形効用関数の限界代替率
- 限界効用均等の条件(ゴッセンの第二法則)
- 補償需要関数