営業レバレッジ
売り上げが1%変動したときに利益が何%変動するか
売り上げが1%変動したときに利益が何%変動するか
これが分かれば随分と将来についての予測もたち、投資先の選定にも役に立ちそうなものです。問題はどのようにこれを求めるかです。パッとじゃなかなか推定できそうにありません。
もちろん二期のデータがあれば、売上の変化率と利益の変化率を求められます。この方法は費用関数の推定でつかった総費用法と同じものです。このやり方では最小二乗法や費用別法での推定には無力です。
実はこのような困難を解決する強力な定理があります。
費用関数が一次関数のとき、営業レバレッジは安全余裕度の逆数に等しい。
利潤の変動が損益分岐点分析から得られるという、なんとも奇妙で面白い定理です。
数式で表現するメリットをいくつか説いてきましたがぶっちゃけこいつの証明をしたかったがために導入した部分もあります。
実用面ではこの公式を覚えるだけで十分ですが、一応証明しておきます。
まず、必要なツールの定義からです。
損益分岐点\(y^*\)を用いると安全余裕度は
\(安全余裕度=\frac{y-y^*}{y^*}\)
と定義できます。
一方、営業レバレッジについては利潤\(\pi\)を使って
\(営業レバレッジ=\frac{d\pi/\pi}{dy/y}\)
になります。
条件である費用関数は\(C(y)=ay+C(0)\)、つまり\(\pi=y-ay-C(0)\)です。
証明すべきは
\(\pi=y-ay-C(0)\)ならば
\(\frac{d\pi/\pi}{dy/y}=\frac{y-y^*}{y^*}\)
\(\frac{d\pi/\pi}{dy/y}=\frac{y-y^*}{y^*}\)
まずは損益分岐点を求めます。定義は\(y^*=C(y^*)\)なので、費用関数の条件から
\(y^*=ay^*+C(0)\)
よって
\(y^*=\frac{C(0)}{1-a}\)
です。
これを念頭に置きつつ営業レバレッジを展開します。
\(\frac{d\pi/\pi}{dy/y}=\frac{d\pi}{dy}\frac{y}{\pi}\)
利潤\(\pi=y-ay-C(0)\)なので、
\(\frac{d\pi/\pi}{dy/y}=\frac{d}{dy}(y-ay-C(0))\frac{y}{y-ay-C(0)}\)
微分が出てきますが、よくある一次の微分なので問題ないですね。
\(\frac{d\pi/\pi}{dy/y}=(1-a)\frac{y}{y-ay-C(0)}\)
整理して
\(\frac{d\pi/\pi}{dy/y}=\frac{1}{1-C(0)/(1-a)y}\)
\(y^*=\frac{C(0)}{1-a}\)を使えば、
\(\frac{d\pi/\pi}{dy/y}=\frac{1}{1-y/y^*}\)
よって
\(\frac{d\pi/\pi}{dy/y}=\frac{y-y^*}{y^*}\)
定理も証明も他分野への汎用性が皆無なのでわざわざ証明を練習する必要はないとおもいますが、念のため用意しておきます。
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