効用
財を消費したときに得られる満足度、満足感の大きさ。


つまり、「満足感」「幸福感」の大きさに数をあてたもの、というイメージでしょうか。分かりにくければそのまま「幸福感」「満足感」と言っても問題ないでしょう。

ここで前回までの流れを確認すると、「選好ではちょっと分かりにくいから代わりに効用を使おう!」という流れで効用の話題になっていました。この満足・幸福にかかわる抽象的な効用に数を与える効用関数を選好の代わりになるように定義します。

効用関数
推移性と完備性をみたす選好(合理的な選好)に対して
\(A\succsim B\ \Leftrightarrow\ u(A)\ge u(B)\)
が成り立つように関数uを定義し、これを効用関数という。


がっつり書いてありますが、なんのこっちゃなくただより好きな方が効用関数の値が大きくなるよう定義されているだけです。A,Bは消費量だったり状況を考えてみれば大丈夫です。

例えば、マグロの寿司3貫のほうがサケの寿司4貫よりも好きな場合です。
\(マグロの寿司3貫\succsim サケの寿司4貫\)となるので
\(u(マグロの寿司3貫)\ge u(サケの寿司4貫)\)となります。具体的な数字はなんでも大丈夫です。踏み込んだ議論をしておくと、効用関数は選好の順序関係のみを表し、比較するときは大きさの大小のみが意味を持ちます。つまり、効用関数の値の差が開いてるからずっと好きというようにはいかないんですね。


今までは物を直接比較していましたが効用関数の導入により、比べるものは数になり大小関係を比べるだけでよくなります。また、(基数・序数の議論をとりあえずおいておいて)足す引くかける割るの四則演算、微分、確率の導入などより発展した分析が可能になります。

ところで選好が\(A\thicksim B\)の時はどうでしょうか。まぁ直感的には\(u(A)=u(B)\)な感じがします。AとBが無差別なら満足感が同じになるのは当然です。これを選好の定義に従ってこれを考えるのは練習問題にしましょう。

がっつり書いてしまいましたが、重要なのは

効用関数は望ましさを表すものであること。大きい方が望ましい。


最初はこれに尽きます。では、なぜ「選好」なんて面倒な概念を通して「効用」を定義するのか…最初から望ましさの大きさとして「効用」を使わないのか…これはまたおいおいですね。

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