まずは効用最大化問題から。
効用最大化問題
\(max\ \ u(x)\)
\(s.t.\ \ p\cdot x=I\)
\(max\ \ u(x)\)
\(s.t.\ \ p\cdot x=I\)
数理計画問題の書き方をしていて面倒ですね。
まず「max 〜」ですが、これは「〜を最大化せよ、という問題」の意味です。このとき基本的には「最大化された〜」と「最大化する条件」をセットで求めることになります。つまり、ここでは最大化された効用と効用を最大化する条件を求める必要があります。
次にs.t.ですが、これは"subject to"すなわち「〜の条件のもとで」という意味です。この場合は「予算制約をみたす条件で」と指示されていることになります。
この問題を解くことで最大化された効用\(u(x)\)と最大化条件である消費計画\(x\)を得ることができます。
\(p,I\)はあらかじめ決まっている変数です。この変数を所与である変数だとか外生変数とかいったりします。このときの最大化された効用水準は所与だった\(p,I\)によって決定されていると見なせることから\(p,I\)の関数であるということがいえます。
間接効用関数
効用最大化問題を解いて得た最大化された効用水準\(V=max(u(x))\)は\(V=V(p,I)\)である。この\(p,I\)によって決まる効用水準を間接効用関数という。
効用最大化問題を解いて得た最大化された効用水準\(V=max(u(x))\)は\(V=V(p,I)\)である。この\(p,I\)によって決まる効用水準を間接効用関数という。
効用は直接的には消費量によって決定されるものです。今回はこの効用水準は\(p,I\)によって間接的に決定されているので間接効用関数と呼ばれています。最大化問題の解としてなら、本来は消費量に依存する効用を\(p,I\)に依存させることができるわけです。効用は消費者の選好に基づいて定義されていました。消費者が自分の好みに従って消費すると仮定すれば、このような引数をすり替えてしまうことが可能です。
さて、これまで消費者の行動を解き明かそうとしてきたわけです。そこで消費者の具体的な行動を表す量である消費量に注目します。
マーシャル需要
効用財大化問題の結果得られた消費量\(x\)をマーシャル需要という。
効用財大化問題の結果得られた消費量\(x\)をマーシャル需要という。
つまり、マーシャル需要とは効用最大化の条件であるといえます。
これによって消費者の行動を解きあかす最低限のツールが出そろいました。実際にいくつかの定理を導いてみましょう。そのあとで価格変動が消費者に与える影響を分析するスルツキー方程式を導出するために双対性に取り組みます。
もくじ
(1) 選好と効用
(2) 行動原理代替効果
自己代替効果
@所得効果
@スルツキー分解
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(2) 行動原理
- 経済学でのベクトルと内積
- 予算制約式
- 効用最大化問題
- 費用最小化問題
- 双対性
- 偏微分
- 全微分
- 限界代替率
- 限界代替率と価格比
- 【例題】線形効用関数の限界代替率
- 限界効用均等の条件(ゴッセンの第二法則)
- 補償需要関数