2財の価格を\(p_1,p_2\)と消費量を\(x_1,x_2\)、消費者の所得を\(I\)とする。
消費量に関係なく価格が一定なら\(p_1 x_1+p_2 x_2=I\)が成り立つ。
この式を予算制約式という。
消費量に関係なく価格が一定なら\(p_1 x_1+p_2 x_2=I\)が成り立つ。
この式を予算制約式という。
価格というのは数量当たりの価格、つまりは単価です。単位は日本なら例えば(円/個)になります。これに数量をかけることでその財に支出する貨幣の量になるのは大丈夫でしょう。1個50円のガムを10個買うとき
\(p_{ガム}x_{ガム}=50\times 10=500\)となり、ガムに500円支出することが分かります。
2つの財しかない世界ではこの2財に支出する貨幣の合計が所得になります。
「え?所得って使い切らなきゃいけないの?取っておく道もあるから\(p_1 x_1+p_2 x_2\leq I\)じゃないの?」と思うかもしれません。
ここで一つ気に留めておいて欲しいことがあります。貨幣とは財の一種にすぎない、ということです。貨幣の特徴は経済学の一つのテーマではありますが、貨幣は別に特別なものでも何でもありません。経済学の歴史から見ると貨幣は無意味なものだと考えている時期はとても長かったのです。そして今ではこれほど極端な意見はケインズの活躍でなくなりましたが、今でも貨幣を変わった性質をもつ財以上には認識していない研究者が普通かと思います。
話を戻すと、\(x_{貨幣}\)が貯蓄を指すことは分かってもらえるでしょうか。で、\(p_{貨幣}=1\)とすれば問題ないですね。現金1円が使わずに持っておく貨幣1円に対応させることができます。
あと条件に消費量に関係なく価格が一定なら、というのをつけています。ここはあまりテキストでは扱いません。が、経営学に応用しようと思っている人はこの前提を知っていることが力になるでしょう。というのも、企業にいれば購入量に応じて価格が変化する状況はよくあります。また、交渉力みたいな抽象的な変数を定義するなどすれば価格はより複雑になります。ここは各人の目的に応じたアレンジのしがいがある部分でしょう。
さて、予算制約式は財がたくさんあるときは、内積を使って表現することが普通です。ベクトルや内積の知識が危うい人は確認しておきましょう。
予算制約式
財\(1,\cdots ,n\)があるとき、\(i\)番目の財の価格、消費量を\(p_i,x_i\)として要素(元)にもつベクトル\(p,x\)を考える。所得\(I\)のもとで予算制約は
\(p\cdot x=I\)
と表せる。
財\(1,\cdots ,n\)があるとき、\(i\)番目の財の価格、消費量を\(p_i,x_i\)として要素(元)にもつベクトル\(p,x\)を考える。所得\(I\)のもとで予算制約は
\(p\cdot x=I\)
と表せる。
この価格、数量をベクトルで表現することはミクロ経済学の常套手段です。ぜひ使えるようにしておきましょう。なぜこれが先ほどの式と等価なのかは\(n=2\)を考えてみると分かるでしょう。
もくじ
(1) 選好と効用
(2) 行動原理代替効果
自己代替効果
@所得効果
@スルツキー分解
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(2) 行動原理
- 経済学でのベクトルと内積
- 予算制約式
- 効用最大化問題
- 費用最小化問題
- 双対性
- 偏微分
- 全微分
- 限界代替率
- 限界代替率と価格比
- 【例題】線形効用関数の限界代替率
- 限界効用均等の条件(ゴッセンの第二法則)
- 補償需要関数